遺言の必要性

増えている相続(争族)問題


家庭裁判所での遺産分割事件が昭和47年に年間約4900件、平成元年には約7000件、平成14年には約9200件と2倍近くも増加しています。

また自筆証書の検認件数も昭和50年頃までは年間2000件ほどだったものが、平成12年頃には10000件を超えています。

これらの数字の増加は、テレビ等の報道でみなさんも感じられているとは思いますが、相続に関する争いごとが増えてきているということがいえると思います。


争族にならないために


民法には相続人ごとにそれぞれ何分の何という形で相続分というものが決められています。

これを法定相続分といいます。ですから、普通はこれに従って遺産を分けるのですが、分割することが難しい不動産などを法定相続分どおりにわけるよりは、ある人は不動産を、ある人は預金を、といった具合に分けた方が後々のことを考えるといいということが多く、通常相続人同士で話し合うことになります。

この話し合いを遺産分割協議といいます。

このときに遺言者が亡くなるまでは相続人の方々は仲がよかったが、いざ亡くなられて財産があることが分かると,相続人の中には態度を変える人もいます。

お金が絡むことだけに最初は財産に関する話し合いだったものが人間関係を壊してしまう泥沼状態になってしまうことがよくあります。

このような事例が多いことから、相続が争族と言われている理由がよくわかります。
このような争族になるのを防ぐためには亡くなった方が遺言を残しておけば、よほど偏った内容でない限り相続人たちは亡くなった方の意思なんだからと、納得して争いになることを防ぐことができるでしょう。

また、遺言というと亡くなる直前にするものだとか、両親や配偶者に遺言を書いておいてほしいと言うと失礼なのではないかとお思いの方も多いと思います。
しかし、遺言には残されたものが争いになることを防ぎ、仲良く暮らしていくためにも必要だということをご理解いただければ、遺言を残すことの抵抗も少なくなるのではないでしょうか?

次のような場合には特に遺言を残しておくことをおすすめします。

1 夫婦の間に子供がいない場合

この場合、遺言がないと法定相続分は配偶者4分の3、亡くなった方の兄弟4分の1となっています。長年連れ添った配偶者に財産を全部あげたいときは遺言が必要になります。

2 内縁の妻に財産を残したい場合

法律上、内縁の妻には相続権が認められていません。したがって内縁の妻に財産を残したいときは遺言が必要になります。

3 相続人が1人もいない場合

この場合、遺産は国庫に帰属ししまいます。生前お世話になった人に遺産をあげたいときは遺言が必要です。

4 息子の妻に財産を贈りたい場合

息子の妻にも相続権がみとめられていないので、息子に先立たれた妻が亡夫の親の面倒を見たとしても遺産を受け取ることはできません。

5 事業を経営している場合

その事業を特定の後継者に承継させたい場合には遺言をしておくことが必要です。